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他人は「環境はまずまず、いい部屋を見つけたじゃない」と言うんです。
だけど、本人は「もっといい部屋があるに違いない」と感じている。
そうして、移った先でまた「ここは交通の便はいいけれど、日当たりが悪い」と難癖をつけて転々としていく。
まるで引っ越し好きの人のように、女は本当の恋人を探しているんですね。
そうした気分を女は結婚してからも、持ち続けているのではないでしょうか。
というのは、女は年齢がいくにつれ、男の好みが変化するということが性々にしてあるんです。
たとえば、中年にさしかかってから、体からにじみ出るフェロモンのようなものに魅かれるようになったという人はけっこういます。
女は若いときは、体には魅かれないんです。
むしろお金とか学歴とか、その男に付随するものに魅了される。
だから、条件のいいサラリーマンと結婚し、人妻になってから男の肉体に目覚めるんです。
そして、中年と呼ばれる頃になると、きれいな体や顔の男が、本当の恋人としての想像の対象になるんです。
これが男と女では逆だと思うんですね。
男は若いときは体に魅かれ、中年になると精神で女を選ぶ。
女は若いときは男の条件で選び、中年になれば肉体に魅かれるようになる。
男と女は年とともに、肉体と精神への関心が逆転するんです。
この逆転が、そのまま夫婦のギャップになるのかもしれません。
男は若いときは、JさんならJさんという女性の顔や体に魅かれるんです。
で、Jさんとつきあい出した頃は、会うたびにときめきも感じるんです。
そのうちときめきが安らぎに変わって、彼女といっしょにいるのがラクだなと思うようになるんです。
そして結婚したら、こんどはJさんというより、妻として愛するようになり、やがて家族として愛するようになる。
そうすると、JさんであろうがYさんであろうが誰であろうが、愛する家族が側にいるという図式は変わらないんですね。
人間はみんな固有の人生を歩んでいるようでいて、結局は誰もが同じように人を愛し、生きて死んでいくと考えてもいいと思うんです。
すると、Jさんと結婚したわけだけれど、大切なことは結婚することによって家族としていかに愛するかではないかという気がするんです。
別の言い方をすれば、お金に置き換えてもいい。
お金とか財産というのは、蓄えれば蓄えるほど無常観を感じると思うんです。
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